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「自分で自分を盛り上げながら最後までつくれた、萎えさせないでね。」(Caravan)

OY:ところで、アルバムの話から飛びますが、以前BSで旅番組やっていましたよね。その番組をたまたま見たんですけど、あの画と音がかなりCaravanのイメージにピタっとくると思ってたんです。

Caravan:番組やってましたね。あれは「アメリカの町」っていう番組で、普段はナレーターをやっていたんだけど、最終回だけロケで現地に行ったんですよ。

OY:その番組のハマり感から、そこに何かルーツ的なものがあるのかな、とか思ったりしていたんです。

Caravan:そうですね。子供のころとか若いころはやみくもにアメリカにかぶれてて、アメリカの音楽とか、楽器もそうだし、made in U.S.Aのもの、古き良きアメリカみたいなものに憧れて背伸びしてるガキだったりしたから。でも大人になるにつれてアメリカの闇というか、見たくないようなところも見えてきてどんどんキライになってって・・・そんな風にひとまわりしてきて、でもまぁ、アメリカのギターっていいよね、とかアメリカの車ってかっこいいよね、とか。実際アメリカで生まれた音楽とかたくさん聴いて育ったから、感情としても大嫌いだけど大好きみたいな。

 -OY:なるほど。「Quiet Fanfare」にはスペイン語のタイトルの曲がいくつかありますが、今までスペイン語のタイトルってつけてました?

Caravan:そんなにないですね。最近そういう気分になって。

OY:僕も南米音楽が好きだから、タイトルの意味とかも調べたりしたんです。スペイン語をフックアップしたのは自分のルーツ的なものとかを意識してですか?

Caravan:そこまで深く考えてはいないんだけど、子供のころに身の回りで流れていた音や空気みたいなものはイメージして。かといって南米の音楽ばっかり聴いて育ったわけじゃないから、それほど深いことは知らないんだけど、こういう質感だったなぁっていうのを目指してつくったところはあります。

OY:南米の質感のある曲もですが、「Quiet Fanfare」は曲調にすごくバラエティーがありますよね。タブラの入った曲もあれば、ブルースもあるしカントリー&ウェスタンもあるし。
Caravan:自分が好きな世界をどんどん入れていきたい気持ちプラス、今回はすごく作品作りを楽しめたというか、吹っ切れたところがあって。特に歌詞を書くこともすごく楽しくて、もちろん生みの苦しみ的なものも当然あるんだけど、それ以上に煮詰まらずに迷いなくつくっていたアルバムだから。

OY:そういうスタンスとかマインドは作品に出るんだな、と思います。曲にのって伝わるんですよね、ちゃんと。実際僕は「Quiet Fanfare」を聴いて、そういう自然体でつくってるんじゃないかなと思っていましたし。

Caravan:常に自分の中にはさ、もう一人いるじゃない。なにかすると冷静に見てるもう一人の自分が、そんなカッコイイこと言っちゃってさ、みたいに茶化したり。ちょっとシニカルな視点っていうか悲観的な自分。そういう意味だと今回”もう一人の自分”ともピタっと合って、自分で自分を盛り上げながら最後までつくれた、萎えさせないでね。基本一人でやったんだけど、すごい勢いがあったというか、やっちゃえやっちゃえ、っていう感じ。

OY:別に悪ふざけしてるってわけじゃなく、バンバン進んでった。

Caravan:そうそう。
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「自分の好きなミュージシャンと一緒になって自分の曲を演奏するのは、テンションも上がるし緊張感もある。」(Caravan)


OY:アルバムはそんなマインドで作られたということなんですが、先日の横浜BLITZのLIVE(HARVEST 6th Anniversary 10/5 sat )もすごく良かったです。今LIVEはあのメンバーで?

Caravan:そうですね。ここのところドラムは椎名さんにやってもらってて、ベースの伊賀くんは昔からだし、あと堀江くんも。だいたい基本的なメンバーはこの4人かなって気がしてますね。音出す上でもプライベートでもなんでも話せるというか、いろいろ相談もできて、親戚のおじさんみたいな感じで頼りにしてますよ。

OY:以前はGREAT3の白根さんや高桑さんともやっていました。その時は?

Caravan:刺激的でしたね。自分の憧れというか、自分の好きなミュージシャンと一緒になって自分の曲を演奏するのは、テンションも上がるし緊張感もある。逆に自分もがんばらないと成り立たないから、そういう意味ではすごく鍛えられるんだよね。

OY:わかります。人生の中でそういう時期ってありますよね。

Caravan:それまではほんとに友達と音を出してたから、旅で出会ったミュージシャンとか。演奏っていうよりも日常のヴァイブスを中心に、一緒に演ろうよっていって音楽をやってた。そこでしか出せない空気っていうのも絶対あるんだけど、それと同時に、もっとああしたいこうしたいっていう音楽的に突き詰めようとすると、どこかこう甘くなっちゃったり、なぁなぁになっちゃったりすることもあって、お互いに。それで今度は甘えられない人とやってみたいっていうとこで、GREAT3の白根賢一さんと高桑圭さんに頼んだんですよ。そこに堀江くんが現れてっていう流れなんですよ。

OY:その期間にけっこう鍛えられた?

Caravan:そうですね。一番思ったのはみんなただプレーヤーとして長けてるだけじゃなくて、曲を解釈することや曲の世界観を重要視している。そこが合っていればなにをやってもいいっていう空気があって、すごく勉強になるな、そうだよなって思った。たぶん譜面渡してこれどおりやってくれっていえばやってくれるんだろうけど、そういうところじゃない。みんなすばらしいミュージシャンでありながらプロデューサー気質っていうか、自分のプレイだけじゃなくて客観的にこの曲は、この音楽は、このヴァイブスは、とかを聴いてる人だから。すごく刺激的な時期でしたね。

OY:そのころからケーブルを使ってもらっています。

Caravan:そうですね、大活躍ですよ。今回はこの白いTUNAMI TERZO XLRも。

OY:TERZOは今回どのくらい使いました?

Caravan:マイクで録るもの、全部これです。

OY:ほんとに!

Caravan:歌もアコギもエレキも。要するにこのスタジオのシステムがすごく単純だから。TERZOがマイクプリにつながっていて、マイクを変えてギターにあてたり歌にあてたり。今回はここの音も使い勝手も決まってきたから、曲によってケーブルをかえるというよりも、合っているものをずっと使うっていうやり方でしたね。ちょうどレコーディングの時にTERZOを使いはじめたら、すごくクリアなんだけど芯がある感じがして、あ、これで全部いけるって。

OY:確かにTERZOはなんにでも合うし、コンデンサーだけじゃなくダイナミックマイクの良さをすごく引き出してくれるんですよ。

Caravan:そういう感じがしました。すごくクリアだしかといってHiFiにひろがるわけでもなくて、密度があるっていうのかな。今まではPA-02を使ってたけど、あの解像度にさらに深みとコクが加わったっていったらいいのかな。うちでは”うどん”って呼んでるんですけど、白くて太くて、コシもあるし(笑)。
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