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このツアーの46本目、沖縄のガンガーラの森にあるCave Cafeの模様を今日はレポート


Cave Cafeという名前の通り、ここは鍾乳洞の中のCafe。サンプリングリヴァーブのプリセットにもあるくらい、鍾乳洞という場所で鳴らされるサウンドは特徴的なものになることは想像に難くない。音場ももちろん、WETな空気感と特有のヒンヤリ感。まさに天然のリヴァーブだ。

もしや残響エコーが多く、音が回ってしまい苦労するのでは?セットリストから「シカゴ」や「NOW!!!」などのアップリフティングな曲が消えてしまうのでは(笑)という不安がよぎる。(注:個人的にです)

ところがリハーサル前の感触では、意外とWETな空間ではなかったという。というのも、ここの鍾乳洞は非常に天井が高く、天井からランダムに垂れさがる鍾乳石がルームアコースティック的に音を乱反射させており、意外と音は回らなそうなのだ。
確かに音決めもスムースに進み、実際にリハーサルで鳴っている音もとても気持ちが良い。

「音が回りやすい小さい場所での音作りを想定してましたけど、変な反響もなく苦労せずに外音を決めることができましたね。」(PA:西川)
「高い天井から垂れ下がってるあの鍾乳石が天然のディフューザーになってますよ。」(ミト)

daisuke_SN_1_320ステージ上の全ての音は、30.0mのPA-08を4本使用して、32chもれなくデジタル卓のYAMAHA LS9に送られる。この過程で特筆すべきことは、ステージ上でマルチボックスを使用していないという点だ。つまり、マイクやDIから出された信号はマルチボックスをカマすことなく、直にマルチケーブルにつながっているのである。
 
「いやー、本音を言えば大変ですよ(笑)。どのチャンネルにどれが入るか1chずつ確認して結線しなければいけないですからね。それにステージ上だから、物理的な危険性もなくはないですしね。でも余計なものが”かんで”いないわけだから、その分出音はダイレクトになりますよね。」(PA:西川)

「ロスはもうないですよ。ロスレスです。」(ミト)

ツアー後半、8月からPAセットにはAntelopeAudio ISOCHRONE 10MとISOCHRONE OCXを導入、コンパクトなPAセットながらもレコーディングに匹敵する環境を構築した。実際に8月からこのLIVEツアーを全て録音しており、これらはその音質向上のために導入されたのである。

またクロックジェネレータをドライブする電源ケーブルには、スピード感とレンジ感という狙いでBLACKMAMBA-Σが採用されており、クロックを流すBNCケ ーブルには銀単線のDR-510が採用されている。

西川さんにBLACKMAMBA-Σについて感想をきいてみた。

「いや、メチャメチャいいです。」(PA:西川)

・・・ありがとうございます(笑)。

それにしても、このデジタル環境を確立するまでには、少なからず苦労があったようだ。

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OY:音作りどうでした?今日?

西川: いやいや全然やりやすいっすよ。予想に反して。

OY:マルチケーブルを変えてから外音ばっちり変わったんですか?

西川:マルチケーブルもそうですけど、やっぱりマイクケーブルですね。マイクケーブルを全部QAC-202とPA-02に変えた時、一っ番強烈に変わりましたね。
ミト:あとやっぱりクロックジェネレーターを導入して、全部のデジタルクロックがビシっと合った時、別物になりました。何もかも。
西川:それで一気に変わったんですよ。もう、”うわぁ”みたいな。

OY:確かにドラムすごくいいですよね。倍音とかちゃんと響いて。でもそれがどこまでケーブルのせいなのかは、

西川:いや、ケーブルですよ。完全にケーブルですよ。

OY:LS9のマスターがISOCHRONE 10Mになっているんですか?

 
西川:いや、ISOCHRONE 10MからAPOGEE2台にいって、そこからHD(a-dat)がつながってます。
以前ISOCHRONE 10Mからパラったらデジタルノイズが出まくって、a-datオプティカルからも出してるんで、

OY:クロックが行ったり来たりでゴチャっとしちゃったんですね。

ミト:だから今この状態にたどり着くまでが結構大変だった。

OY:デジタル周りって最近は結構イージーになったイメージありますけど、機材が増えて複雑になってくるとやっぱり。

ミト:総入れ替えして、ISOCHRONE 10Mから今更a-dat Aへ、みたいなことをやっちゃってるから余計にタチ悪くて。それからLS9側に出力がないから敢えて1台のアンサンブルをa-datでレコーダーに直で送ってみたり、とにかくすごい難儀なことになってて。どこがアタマ(クロックマスター)なの?って、

OY:わかんなくなってる。

ミト:そうそうそうそう。
西川:最終的にクロックはISOCHRONE 10MからAPOGEEにいってて、1台のAPOGEEが録音側、もう1台が卓側。
ミト:で録音側の方はクロックを入れない。吐き出してる側からクロックがいってるから。a-datのね。
西川:そこにたどり着くまでにすごく時間かかった。

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この正解にたどり着いたのが、前述の大分でのLIVEの時だったという。
そしてリハーサル直後の郁子さんから一言。

「浅草ぶりですね。ココ、すごくイイ感じじゃないですか。今日はきっと、すごく違いがよくわかるんじゃないかな。」(原田郁子)


この日の沖縄の天気は台風が近づいていることもあり、雨が降ったりやんだり。それでも夕方には雨はやみ、お客さんも雨に濡れることなく会場に入ることができた。
「Re-アホイ」から厳かに始まり、「シカゴ」「サラウンド」といったキラーチューンでアゲまくり、息つく間もなく「NOW!!!」で昇天!アンコールはいつもより1曲多く、締めは「あかり from HERE」で感動的に幕を閉じた。

クラムボンはダイナミックレンジの広い楽曲が多いのだが、ダイナミクスがMAXに振れた時でも決して音はゴチャっとせず、全編通して音の立ち上がりや輪郭が際立って耳に飛んでくる。ここホントに鍾乳洞だよね?そんな気にさせる音。

この日ここに来てこのLIVEを体験した人たちの満足した様子、感動した様子はTwitter上のTLに怒涛のように反映されていた。この日の感動のお手伝いを、少しだけ出来たかもしれない。


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