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「リズム感が欲しい、どうしたらリズム感つくのかな、と考えて、クリックを聞きながらクリックにあわせて歩いていたんですよ。」(BOH)

課長:普段音楽を聴く時は、分析的に聴いていますか?僕は聴く部屋を分けているんですけど、分析したい脳で聴く時と、ただ寛いで音楽聴きたい時とで、環境を変えていたりしますか?
BOH:環境も意識も変えたいんですけど、変えられないんです。聞こえてきちゃうと、ベースが入っていない音楽でも、ベースのないこの曲を、一番支えているものはなんだろう?とか。4拍子なのになんで4拍子に聞こえないんだろう、とか。聞こえてきた瞬間、分析的に聞いちゃうクセがついていて。良くないなぁと思うんですけど、フラットに考えられないのかもしれないです。音楽学校時代なんて、とにかくめちゃくちゃリズム感が欲しい、どうしたらリズム感つくのかな、と考えて、クリックを聞きながらクリックにあわせて歩いていたんですよ。
OY:ちょいちょい人並み外れたエピソードがはさまれますね。
課長:東京に来て音楽専門学校に通っている時だから、18才か19才のころですか。
BOH:南青山に学校があったので、渋谷まで電車で行って、渋谷から青山の学校まで歩くと20分くらい。そこをクリック聞きながら毎日歩く。そのうちもっとクリック聞きながら歩きたくなって、帰りは電車に乗らず、青山から1時間半かけて歩いて家まで帰る。そしたら19才の手前くらいに、クリック外してもクリックが耳の奥で鳴ってるっていう精神病にかかっちゃって、僕ちょっと精神病院行きました。クリックの音がずっとピッピピッピ鳴って離れないんですけど、って。
課長:そんなことって起きるんですね・・・でもそのトレーニングはその後いい感じで自分に残ったんですか?
BOH:いや、ぜんぜん残らなかったですね。
課長:僕もクリック聴きながら毎日寝たらリズム感良くなるんじゃないかって思ってやってみたことあるんですが、1日で終わりました。BOHさんは突き詰めて続けていたら精神病になってしまったと。
BOH:1年半聞き続けましたから。でも、絶対やめたほうがいいです。
課長:思いつくまではみんな行くと思うんですけど、実際1年半実行するっていう人は、なかなかいないでしょうね。
BOH:ライブの時、イヤモニにクリック流れてるじゃないですか。ドラムがどんなにズレようが、まわりがどんなにやらかそうが、走ろうが、僕はクリックに合わせられるっていう、そういうメリットはあったのかもしれません。ただ、クリックに合った演奏がいい演奏、とは思わないですし。音楽はクリックやドラマーに合わせるというより、全体でグルーヴ作らないといけないし、リズムっていったらベースとドラムって言われがちだけど、それだけがリズム全体じゃないです。
課長:そこ、ほんとうに共感します。ドラム云々というより、リズムはアンサンブル全部が複雑に絡み合ってるっていうことに、すごく共感します。

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