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モジュラーシンセの祭典「SUPERBOOTH21」に参加しました!!
Superboothは、2016年よりスタートした、モジュラーシンセを中心としたシンセサイザーの祭典です。
現在では、世界中のシンセ・メーカーが出展し、多くのクリエイターやアーティスト、ミュージシャン達が集まるカンファレンスとして注目されていますが、その始まりは、なんと20年ほど前に遡るそうです。
元々は、フランクフルトで開催された大きなカンファレンスMusikmesseの一部のスペースで、一握りの友人や気心の知れたオタクたちが、シンセサイザーの愛好家たちのために特別な場所を作ったことに端を発します。
この共有スペースには、エキゾチックなハードウェアや電子音楽機器を製造する小規模で情熱的なメーカーが集まっていました。それがオリジナルのSuperboothです。
Superboothの目的は元来、Musikmesseのような大きなイベントに出展するための費用を捻出するチャンスを、小規模なスタートアップのブランドに提供することでした。
しかし、それ以上にその共有スペースで、ただ一緒に音楽を作ることが目的でもありました。
純粋なブランドのプレゼンテーションに焦点を当てるのではなく、そこに配置された楽器を接続したり組み合わせたりすることで、実際にどのようなことができるのか参加したアーティストやミュージシャンが自由にプレイし、そこから生まれるものを大切にしてきたのがSuperboothでもあります。
そんなアティチュードを持ったSuperboothですが、創設者の一人である Schneider氏はSuperboothをフランクフルトから持ち出して、新しいフォーマットに変えることを決めました。
そしてSuperboothをベルリンへと持ち込み、自分なりのスペシャリスト・トレードフェアとして新たなスタートを切ることになります。
2016年、現在のカンファレンス形式として初となるSuperboothが、Funkhaus Berlinを会場に96社の出展者を迎えて開催されました。
初開催されたSuperboothの3日間は、コミュニケーションと祝祭感に彩られた強烈で独特な雰囲気で、来場した多くの人々が素晴らしい思い出をパッケージにして持ち帰ることになりました。
こうしてスタートを切ったSuperboothは、年を追うごとに注目を集め少しずつ大きなカンファレンスへと成長していきます。
2017年からは、新たなコンセプトの緑の自然に囲まれ会場へと場所を移し、フェスティバルプログラムに最適なステージを備えたFEZ-Berlinという非常に特別な会場で開催されています。
それに伴い参加メーカーの数も年々増え、2019年には230社という圧倒的な出展数を達成しました。
2020年には5年に一度の大規模なショー「Superbooth Berlin」が計画されていました。
しかし、パンデミックの影響で私たちの生活の大部分が世界中で失われてしまい、Superboothもまた計画の変更を余儀なくされました。
その中でも「Superbooth 20 Home Edition」として2020年4月に開催されたオンラインイベントは成功を収め、さらに多くの世界中のマニアへSuperboothを知ってもらうをきっかけを得られました。
そして、2021年。
毎年5月に行われていたSuperboothですが、今年はコロナの影響により9月に延期されるもなんとか無事に開催され、我々オヤイデもイベントへ参加することができました。
Superboothの会場へは、最寄りの駅から1kmほどの道のりを森の中を歩いて向かいます。
ドイツ・ベルリンで開催される世界最大のシンセサイザーの祭典が1年ぶりに戻ってきました。
モジュラーメーカーから大手シンセサイザーブランドまで、実に様々なブランドが今年も参加しています。
5年ほど前にもSuperboothに参加したことがありますが、前回よりも規模が大きくなっていて少し違った印象を受けました。
今年は色々と感染症対策も採られており、各ブース同士の距離が離れていたりと、そんなところにもコロナの影響を感じさせます。
それでもフードやドリンクの出店も充実しており、なかには日本のお好み焼き屋さんも見つけられました。
様々なブランドやメーカーのブースを廻って、私が最も感動したのはMoogの出展エリアでした。
まるでサーカスのような装飾の大きなテントの中に入っていくと、幻想的で宝箱のような世界が広がっていました。
展示されたいくつものシンセサイザーが奏でる美しいハーモニーがそこかしこから響き、照明や装飾にも圧倒されました。
展示されている様々な種類のシンセサイザーは、すべて実際に触れたり演奏したりすることができます。
そこではクリエイターたちが自由に演奏し、セッションしたり、そこにいる誰もがその音楽を楽しんでいました。
まさにSuperboothのアティチュードに溢れた光景がそこにありました。
また、Moogグッズが当たるガチャガチャも設置されていたり、大人から子供まで遊び心を大いにくすぐられます。
また別のエリアに向かうと、ラトビアのシンセメーカーであるErica Synthsのブースも大忙しでした。
Waldorf Musicの最新製品「Waldorf M Wave Table synthesizer」をチェックするためにアーティストであるBloody Maryさんと合流しブースへ向かいましたが、すでに長蛇の列ができていました。
Superboothでは、様々なブランドやメーカーの最新機種やリリース前の製品をチェックすることもできます。
各メーカーにとって、このカンファレンスで新製品のお披露目をしたり、ユーザーの反応をチェックするのにとても最適とされているのです。
KORGやZOOMなどの日本企業も出展していました。
また、Superboothでは著名なアーティストによるライブショーやワークショップなどの催しも充実しています。
湖畔に設置されたステージでは、連日様々なアーティストによるライブが行われていました。
私たちはBloody Mary、St.raumen、JakoJakoといった交流のあるアーティストのライブをそこで楽しむことができました。
Bloody Maryのライブは、Roland TR-909を使ったアシッドでパワフルなパフォーマンスでした。
JakoJakoのセットはモジュラーシンセを駆使したライブで、ダンサーが腕や足首に装着した機器から、動きとリンクして音が発せられるという新しい形のライブパフォーマンスを披露しました。彼女が繰り出すインダストリアル・アンビエント・セットは、聴衆をぐっと引きつけ、魅惑に溢れた不思議な雰囲気を醸し出していました。
JakoJakoは、SuperboothのオーガナイザーであるSchneiders氏が経営するベルリンのモジュラーシーンの中心的存在であるSchneidersladenでも活躍しています。
St Raumenのライブは、インダストリアルなサウンドにロックテイストを加えたユニークなものでした。
それは観ている人々を惹きつける、とてもクールで洗練されたパフォーマンスでした。
APD Dynasonic、Decksaverのブースでは、オヤイデNEOのドイツ国内のディストリビューターを勤めるPATチームがd+ケーブルを展示して迎えてくれました。
Dynasonicは50年以上にわたってミキシング技術をリードしてきたメーカーで、展示された最新のミキサーにはd+ケーブルが何本も接続されていて、ブースを訪れた多くの人たちがミキサーだけではなくケーブルにも注目してくれていました。
またそこでは、PATスタッフのSteffenとMatthiasが機材を駆使した即興のジャムセッションを披露してくれました。
Superboothは、一般の来場者だけではなく関係者やスタッフ、など皆んなが一緒になって催しを楽しんでいるのがとても印象的でした。
また、オーディオインターフェースのブランドとして世界的に著名なRMEのブースや、アーティストであるStimmingの新しいコンプレッサーのブースでも、オヤイデNEOのd+ケーブルは大活躍でした。展示された新製品や様々な機材へオヤイデNEOのケーブルをインストールしてくれていました。
Superboothでは、見知らぬ人同士が即興でジャムを始めたり、モジュラーシンセで遊びながら自分の世界に没頭したり、訪れた人がそれぞれの楽しみ方で、自由に心から楽しんでいる姿がどこでも見られることができます。
我々もいつの間にかみんなと同じように楽しい気持ちにさせられ、そのことに感動すら覚えることができました。
シンセサイザーの祭典として今では世界的に注目されるカンファレンスの一つとして成功を収めながらも、根本となるコンセプトやアティチュードを忘れることなく貫く姿勢が、このSuperboothの雰囲気を作り上げているのだと感じました。
Superboothは、我々が参加した1日だけでは、その全てを堪能するにはとても足りない、本当に充実した内容の素晴らしいカンファレンスでした。
来年のSuperboothは既に5月の開催がアナウンスされています。
我々オヤイデも次回も是非参加したいと強く思っています。
またいつか、オヤイデも出展社の一つとしてこのカンファレンスへ参加して、一緒にこの素晴らしい催しを盛り上げることができたらなと思っています。
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