COLUMN

Report


ライブの現場で使用されているオヤイデ/NEO製品にスポットを当て、それらの魅力を紹介する企画『OYAIDE Live Report』
第9回は、君島大空 合奏形態『THE SADDEST TEMPEST』のレポートです。

 

Artist Profile

君島 大空(Kimishima Ohzora)
1995年東京都青梅市生まれ。ソングライター/ギタリスト。
ギタリスト/サウンドプロデュースとして、吉澤嘉代子、中村佳穂、細井徳太郎、坂口喜咲、RYUTist、adieu(上白石萌歌) 、高井息吹、UA、荒谷翔太(yonawo)など様々な音楽家の制作、録音、ライブに参加。
2019年 午後の反射光ep を発表後から本格的にソロ活動を開始。
2019 午後の反射光 (APOLLO SOUNDS)
2020 縫層ep (APOLLO SOUNDS)
2021 袖の汀ep (APOLLO SOUNDS)
2023 映帶する煙 1st Album(APOLLO SOUNDS)
▶Twitter ▶Instagram ▶Youtube


夏の嵐に見舞われたお盆最終日。嵐が去った後の渋谷は、そんな事お構いなしに日常だった。
人の塊を掻き分け会場の渋谷QUATTROに入ると、開演前ギリギリにも限らず人の列が入り口近くまで延びている。人が多過ぎてフロアに入れないほどだった。
なんとかフロアに辿り着くと、フロア内には嵐の音のBGMが轟いていた。

『THE SADDEST TEMPEST』

企画名の通り「嵐」がテーマとされる本公演。最も悲しい嵐という言葉からは、怒りや衝動など、感情が入り乱れたイメージを感じた。

前触れなき暗転が、始まりの合図を告げる。
最初にステージに上がったのは、Dr.石若さん。嵐を連想させるフロアタムの連打から、1曲目『嵐-reprise-』が始まる。
そこからGt.西田さん、Ba.新井さんの順にステージに足をつけていき、君島さんがステージに立つと、会場は大歓声に包まれた。

今回の公演は、君島大空合奏形態という4人編成でのライブだが、他にも単独演奏の独奏、3ピース編成のトリオ、など様々な編成にて多くのライブを行なっている。
それらは、それぞれが全く異なる色を持っていて、我々を飽きさせてくれない。

2曲目『午後の反射光』
叙情的でありながら、感情的過ぎない独特の雰囲気を持ち、君島さんの中性的な歌声が、淀んだ渋谷の空に響き渡る。


私は君島さんの楽曲を、おもちゃ箱の様だと感じている。
飛び交う音色、フレーズがどれも多幸感に溢れていて、無邪気で何にも縛られていない。
これらを可能にしているのは、君島さんが数々の音楽に触れて来ているからであろう。
RayonsもGhost and VodkaもMondialitoも、私は君島さんから教わった。

グルーヴィなドラムフレーズから始まったのは、3曲目『火傷に雨』。
リズムが鳴ると同時に、客席からは歓声があがる。
そこに新井さんのテクスチャ満点のベースが加わり、印象的な西田さんのギターリフが鋭く輝く。
合奏形態を支えている御三方は、数々の現場をこなす、紛れもないプロの音楽家。
君島大空という圧倒的な個を前にしても、霞むことのない存在感を全員が持っている。時より主役を喰ってしまっているのでは?と思うことすらあるほど。
まだまだ年齢的に若手と括られるのかもしれないが、この4人が集まっているのは、もはやスーパーバンドのそれと等しい。

君島さんの背景には、メタルが密接に関わっている事は、彼のファンであれば周知の事実であろう。
それを体現するディストーションサウンドから、4曲目『Theme of Saddest Tempest』が始まる。
ザクザクのリフ、ライトハンド、アーミングはアームが折れてしまうのではないかと思うほどのものであった。
君島さんの楽曲の魅力は多かれど、サウンド面では、サンプリングやルーパーを多用しているのが特徴的だ。
最近だとボイスチェンジャーなどのボーカルエフェクトも多分に活用している。

そこから流れるように紡がれたのは5曲目『笑止』。
ハードコアを感じさせるディストーションとハーモニクスが心地よい。
君島さんの楽曲は、音源とライブでかなり異なる点が多い。
これはインプロを起源に持つ人達によくあるが、細かいアレンジの数々が、毎回我々に新鮮さを与えてくれる。

続いては、リバースサウンドからの導入で始まった6曲目『装置』。
君島さんの美しいファルセットが堪能できる曲であり、どこか遠い景色を思い起こさせる様な、幻想的な憂いを纏った楽曲。
西田さんはとてもエフェクティブなギターを演奏されるが、君島さんとの演奏になるとそれが際立っている様に感じる。(マッチしていると言った方が良いかもしれない)

君島さん、西田さんのギターの掛け合いで始まったのは、7曲目『19℃』。
ふわふわとした夢遊感の中にも艶を感じる楽曲と演奏。私は、独り静かな夜に志を激らせる様にも聞こえた。
中でもリズム隊二人のシンプルかつ、研ぎ澄まされたテクニックには脱帽してしまう。


新井さんのベースは、量感たっぷりの低域と、計算された右手のアタック感が兎に角心地よい。
石若さんのドラムは、ハイハットのベロシティとスネアの抜け感が小気味よい。
楽曲終盤では、再び君島さんと西田さんによるギターでの掛け合いが披露された、満面の笑みで奔放で自由に掛け合う二人を見ていると、どこか学生時代に教室でギターをかき鳴らし合う親友同士に見えた。

8曲目『嵐-inter-』では一転して、エレクトロサウンドが会場に鳴り響く事になった。
ブレイクビーツの如く、切り貼りされたビートがスタイリッシュと前衛感を押し出している。
自然災害の様に、無慈悲でもはや暴力的とさえ感じてしまう程に飛び交うエフェクト達は、まさに嵐の様であった。

そのまま9曲目『玩具霊ZONE』に入っても引き続き、電子音主体の展開に、自然と身体が動いてしまう。
今年のフジロックでの披露も記憶に新しい本楽曲、キャッチーで光量感のあるアルペジエーターが魅力的だった。

10曲目『散瞳』では、バンドサウンドに回帰し、グルーヴ溢れる展開にイントロ時点で歓声が湧き上がる。
曲中でのダウンテンポのアレンジも、そのセンスが爆発していた。

排他的なメロトロンの一節から始まったのは、11曲目『回転扉の内側は春?』。
雪駄を履きこなし、技巧的で感傷的にギターを弾きこなす様には、哀愁すら感じてしまう。

12曲目『諦観』では、嵐の様に吹き荒れる石若さんのドラムと、西田さんの卓越されたエフェクティブな演奏が輝く一曲。
ふわっとしたコード感から、色味のない無香料なイメージを連想させる。

鼻歌の様にオフマイクの歌声から始まったのは、13曲目『世界はここで回るよ』。
音源と聴き比べると、もはや別の曲なのでは?と思ってしまう程のアレンジを聞くことができた。
行進する様なビートに乗る、君島さんの繊細な歌声が、彼の世界観を強調していた。

14曲目『きさらぎ』では、夢中の如く柔らかな音像と、妖艶な雰囲気を漂わせていた。
指で爪弾かれるギターの、弦の擦れる音が、その妖艶さをさらに演出していた。

湧き上がる観衆の声を遮るかの様に始まったのは、15曲目『No Hevenly』。
地を這い、もがく様な焦燥感や怒りの様なものすら感じさせるハードコアナンバー。
西田さんのソロパートでは、切り裂く様なワーミーを駆使したエモーショナルなプレイを披露した。
またラストには、ギターからケーブルを引き抜き、エフェクトを駆使させながら暴力的なサウンドも披露した。

16曲目『遠視のコントラルト』では、強烈なギター2本のフィードバックから始まった。
土着的なロックの中にも、祝福や多幸感に溢れ、それでいてとても人間的な顔も覗かせる楽曲。
ラストに鬼の様に叩き荒れる石若さんが強く印象に残った。

この曲を聞くと、我々の地元である東京都青梅市の情景が浮かぶ。
音楽の力とは面白いもので、今まで思い出した事もなかった青梅での日常の一片が、音楽によって呼び起こされたりする。
私にとって遠視のコントラルトとは、そんな気持ちにさせてくれる楽曲の一つだ。

17曲目『花降る時の行方』。
ミュートされたガットギターのテクスチャや空気感が気持ちの良い楽曲。
序盤は、森の中で合奏するブリキの様なイメージから、段々と深みを帯びていく曲展開に目を閉じ、ただその美しさに聞き惚れてしまう。
本楽曲は、全編ボイスチェンジャーを使用していて、どことなく機械的な感情を連想させるが、終盤の展開や切願する様な歌詞からは、何よりも人間を感じ、涙が溢れそうになる。

18曲目『c r a z y 』では、さらに進化し続ける君島さんの音楽を体験することとなる。
退廃的な日常を感じさせるようなコード進行の中にも、キラキラとした熱情を感じさせる楽曲で、荒々しくも密度の濃いギターのサウンドが心地よい。
演奏後に、新曲である事をカミングアウトし、客席の熱はさらにヒートアップしていた。

19曲目、本編ラストの楽曲はもちろん『˖嵐₊˚ˑ༄ 』。
様々なジャンルが、複雑にクロスオーバーしたダンスチューンで、君島大空の新たな可能性を感じさせてくれる今夏リリースの楽曲。
ライブでの音は、アーティストの背景や音楽に向き合う姿勢を感じる事が出来ると思っている。
4人から発せられる音には、純粋な音楽への愛情や探究心を感じる。
それに当てられ、彼のライブを観た後は曲を作りたくなる、そんな人も少なくないのではないだろうか?かくいう私もその一人である。

アンコール1曲目は『–nps –』。
渋谷という地に思いを馳せ、作ったという楽曲で、アコギ1本の独奏スタイルでの披露。
嵐が過ぎ去った後の様に、ポロポロと紡がれていくギターと声がとにかく美しく、聞き惚れてしまった。

「嵐が過ぎ去った東京に嵐を呼び戻す企画でした。今年の1stAlbum発表後、まだ時間が止まったままの様な気がする。今年の後半は自分を見つめ直す期間にしたい。」そう語った君島さん。
続けて「今日は皆さんに持って帰って欲しいものがあります。それは『情報』です。」と話し、通常時のライブでは禁止としているスマホでの写真、動画撮影を突如許可し、SNSの投稿も認めた。

会場がざわつき始め、各々がスマホを取り出すと、君島さんはビートを流し始めた。


エクスペリメンタル漂う、嵐の様なサウンドと、ステージに映るVJにただ我々は圧倒されたと同時に困惑していた。

これから何が始まってしまうんだ!?

突如音源が切り替わり、君島さんの楽曲が流れる。かと思いきや、また曲が切り替わる。アルバムのトレーラー動画を見ている様に、数十秒ごとに楽曲が切り替わっていく。

「2ndAlbumが出ます。「no public sounds』9/27リリースでツアーも回ります」と突然の発表に会場には、大歓声が飛び交う。

興奮冷めやらぬ中披露された、アンコール2曲目は『都合』。
どこまでも広がる夕暮れの空に駆け出していく様に、何処か懐かしく、何処か切ない楽曲。
自然体に演奏する彼らは、時に遊び出したり、時にはバチバチにキメに行ったりと自由奔放で、とても「今」を感じる。
ステージの4人の弾ける笑顔と、それをキラキラした目で眺める観客の姿が強く印象に残った。

本公演最後の楽曲は『沈む体は空へ溢れて』。
危なっかしさすら感じるブルータルな衝動感を爆音で披露した。(本人はもはやドゥームメタルと言っていた)
闇を纏った彼らの演奏は、歴戦の王者が闇堕ちした様な、独特なゾクゾクする感覚があり、ラストの刺し殺しそうなソロはまさに圧巻だった。
前方に吹っ飛ぶクラッシュが、その演奏の激しさを物語っていた。

ロック、ブルース、ジャズ、エレクトロ、ダンス、メタル、エモ、アンビエント、ポストクラシカルなどなど多彩な背景を感じさせてくれるライブだった。
君島大空は、まごう事なきアウトプットの天才だと気付かされる、そんな夜になった。

SET LIST
嵐-reprise-
午後の反射光
火傷に雨
Theme of Saddest Tempest
笑止
装置
19°C
嵐-inter-
玩具霊ZONE
散瞳
回転扉の内側は春?
諦観
世界はここで回るよ
きさらぎ
No heavenly
遠視のコントラルト
花降る時の彼方
c r a z y
˖嵐₊˚ˑ༄

enc
–nps —
都合
沈む体は空へ溢れて

そんな素敵な公演にも、オヤイデ/NEO製品が活躍していました。


君島さんが使用されているエフェクターのDCケーブルには、DC-3398LLが導入されています。
高解像度、ワイドレンジ、ノイズレスと三拍子揃ったDC-3398LLは、エフェクトの種類を問わず、高いポテンシャルを発揮します。
Chase Bliss AudioのMOODを始め、多彩な音色を扱う君島さんの出音を支えていました。

君島さん、西田さんのSP404からは、d +RCA classBが導入されています。
印象的な緑白のルックスのd+Seriesは、オヤイデNEOが展開するDJ、クリエイター向けのケーブルです。
高純度の銅を使用し、導体径、導体構造にとことんこだわり、フラットデザインにより、伝送ロスやインピーダンス、静電容量の変化を回避しています。
上手下手に生えるd+は、見た目的にも華やかで良かったですね。

またお二人はレコーディング時などでも、オヤイデ/NEO製品をご使用されています。


君島さんの自宅レコーディング環境では、ライン周りにQAC-222が多数導入されています。
ナチュラルでハリのある中音域が特徴的で、レコーディング周りのラインケーブルには最適な選択の一つでしょう

またインターフェイス→モニタースピーカーには、特注仕様のINNOVATORを使用されています。
君島さん、西田さん共にご好評頂き、お二人とも使用されています。

西田さんは、レコーディング時にはQAC-222Gを使用されています。
透明感のある中高域と程よく締まった低音域は、モダンライクな音作りと相性抜群で、エフェクティブな演奏をされる西田さんにピッタリなケーブルです。

また直近の試奏動画などでは、Ecstasy Cableも使われていますね。
QAC-222Gとは異なるキャラクターを持ち、押出感のある中音域と密度の高いサウンドが特徴的です。
特にドライブサウンドと相性がよく、様々な現場で楽曲を演奏される西田さんのスタイルにも上手くハマっているのでないでしょうか?

いかがでしたか?
次世代を担う変幻自在な4人の音楽家、君島大空合奏形態。
彼らが作り出す音楽は、複雑で時には難解にも感じるかもしれませんが、私が感じている事としては、彼の音楽が表舞台で認められ、沢山の人が彼のライブに足を運んでいるという事実があります。
君島大空が持つ、多角的な音楽への解釈やその背景が、音に乗り遺伝子として、今の若年層に響いて受け継がれていく事、それはとても素敵な事だと思います。
彼に影響を受けた次の、さらにそのまた次の音楽家が現れる事を、早くも楽しみにしています笑。

私は渋谷の街が好きではない。
仕事が終わり、渋谷駅までの道のりも、いつもより早くなってしまう。

でも今夜は悪くない。
彼の音楽に当てられた私は、少し昂揚していた。
「次帰るのは年末かなぁ」なんて、遠い青梅の空に思いを馳せ、今はただ、嵐の後の、黒に染まった渋谷の空の下に沈んでいった。

Writting by Yuuki Miura

RELATED

  • 60 - d_plus_classb_ser - d+ Class B Series,61 - qac-222g - QAC-222G,62 - dc-3398ll - DC-3398 LL,96 - qac222_ser - QAC-222 Series,98 - d_plus_rca_ser - d+ RCA Series,110 - ecstasy-cable - Ecstasy Cable,111 - innovator - INNOVATOR,125 - oyaide-live-report - OYAIDE Live Report,

PageTop