COLUMN
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ライブの現場で使用されているオヤイデ/NEO製品にスポットを当て、それらの魅力を紹介する企画『OYAIDE Live Report』
第5回は、2023.4.11恵比寿LIQIDROOMにて行われた、THE NOVEMBERS 『Tour 2023 かなしみがかわいたら』のレポートです。
THE NOVEMBERS
Yusuke Kobayashi / Vocal & Guitar
Matsumoto Kengo / Guitar
Hirofumi Takamatsu / Bass
Ryosuke Yoshiki / Drums
2005年結成のオルタナティブロックバンド。
2007年にUK PROJECTより1st EP「THE NOVEMBERS」でデビュー。様々な国内フェスティバルに出演。
2013年10月からは自主レーベル「MERZ」を立ち上げ、 2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL」 のRED MARQUEEに出演。
海外ミュージシャン来日公演の出演も多く、TELEVISION,NO AGE,Mystery Jets,Wild Nothing,Thee Oh Sees,Dot Hacker,ASTROBRIGHT,YUCK等とも共演。
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桜も見頃のピークを終え、まだ空気に冷たさも残る季節。
会場である恵比寿LIQUIDROOMに入ると、既にお客さんで一杯。
お客さんは、男女比半々で世代も学生さんからご高齢の方までバラバラ。
仕事柄ライブ会場の客層を見る事も多く、多少なりともその現場によって色が見えるものですが、ノーベンバーズのお客さんは、その色を感じない程にバラバラな客層。
本当に様々な層に支持されている事を感じます。
強いて言えば全身黒ずくめの人が多い笑。
STARTはオンタイムぴったりに始まりました。
Singin’ in the RainがSEとして流れる中、4人が登場するや否や拍手喝采。
1曲目から今回のツアータイトルにもある3年ぶりの新曲『かなしみがかわいたら』を披露。
曲全体として夢遊感がありつつも、流動的なベースラインが魅力で、特にラストにGt.松本さんが弾く轟音パートは必聴必見。
最初からクライマックス!
そして音がデケェ。
THE NOVEMBERSの魅力として、まず挙げられるのがGt&Vo.小林さんの歌声でしょう。
囁く様に歌うと、小林さんにしか出せない独特な魅力がありますし、そこから張った声を出すとグッと心を掴まれる様な気持ちにさせられます。
3曲目に披露された『ブルックリン最終出口』では特にその魅力が溢れていたと思います。
4曲目『きれいな海へ』5曲目『sea’s sweep』で特に感じたのは、ベースとドラムのアビリティの高さです。
Ba.高松さんの音色、音域、フレーズ、ニュアンス、タッチそのどれもが心地よく、ボーカルと絶妙に被らない中低域の出方は計算され尽くしたものだと感じます。
特にベースのキャラクターの使い分けが絶妙で、出て欲しいところは出ていて、出なくて良い(他のパートが表に出る)場面ではスッと後ろに引くプレイスタイルは職人芸だと思います。
Dr.吉木さんのドラムは、流れではなく点として音の一つ一つを捉えているその正確性に脱帽します。
それはもはや音というよりも、迷うことの無い意志のようなものすら感じてしまいます。
太鼓、金物の音のテクスチャーもとても聴き心地が良いです。
そしてバンドサウンドとして、衝動的な魅せ方や轟音パートでも、楽器個々の音が可視化されている点も魅力です。
これは6曲目『236745981』で如実に現れていました。
7曲目『再生の朝』では、Gt.松本さんの美しいギターサウンドに酔いしれました。
後述しますが、まるで要塞のようなペダルボードから繰り出される空間的な広がりや、多彩な音色の数々は聴いていてワクワクします。
そこからもどんどんと盛り上がりを見せる中、13曲目『こわれる』が始まるとその熱はピークに。
ライブでも定番曲ですが、壊れそうな声で絶唱する小林さんとファズの衝動感は何度聞いても心が震えてしまいます。
そしてアンコール。
披露された楽曲は、小林さん自ら「特別な曲」と語る『GIFT』
頭からGt.松本さんのレスポールから出される乾いたクランチの単調なフレーズが続き、喪失感や虚無感を感じさせるのですが、そのフレーズが楽曲の最後まで続きます。
リードギターが頭から最後まで同じフレーズを鳴らし、ギタボが様々なリフを鳴らし他の楽器と相まって展開させていく。
これは珍しい構成だと思います。
他の楽曲とは根本的に考え方が違うというクリエイター/アーティストとしての訴えすら感じてしまいます。
そして思った事は、本当に音がデケェ。
小林さんのインプットケーブルには、Ecstasy Cable。アウトプットケーブルにはG-SPOT Cableを採用されています。
以前まではインプットケーブルには、QAC-222Gを使用されていましたが、Ecstasy Cableリリース後はこちらを愛用されています。
バンドアンサンブルにおいて、ダイナミックレンジは必ずしも広ければ良いという訳ではありません。
Ecstasy CableはQAC-222Gに比べるとレンジの広さは抑え気味ですが、豊潤な倍音成分や音の密度の濃さはピカイチです。
アンサンブルの中でも他の帯域を邪魔しない絶妙なバランスも魅力的で、小林さんの突き抜ける様なファズサウンドにもがっちりハマっていました。
さらにボード内のパッチケーブルには、Solderless Series、DCケーブルにはDC-3398LLが導入されています。
高耐久、高音質を謳う弊社のソルダーレスシステム、高解像度と類を見ないバランスの良さを持つDC-3398LL、この辺りは鉄板ですね。
一方LL/i 50 OFC R2.5、「伝統のオヤイデサウンドのDNAを脈々と受け継いだケーブル」とでも言いましょうか。
コストパフォーマンスに優れた製品で、オーディオファイルはもちろんの事、どういった用途でも安定して高得点を叩き出す優等生です。
ケーブルには「L/i50 OFC」を使用し、高純度OFCをじっくり低温焼鈍し、均質化され安定した伝送を実現しています。
ちなみに小林さんが使用している、L/i 50 OFC R2.5は生産が完了していますが、マイナーチェンジver.のL/i 50 OFC R3.0が御座います。
ノーベンバーズの音がそれぞれ抜けて聞こえるのは、その影響もあるのかもしれません。
またボード内には、小林さんと同じくSolderless SeriesとDC-3398LLを使用されています。
ソルダーレスパッチケーブルは今やペダルポードの必需品と言っても良いほど、数多くのプレイヤーに導入されています。
その中で、オヤイデNEOが展開するソルダーレスシステムの特徴は、『高性能』『高耐久』『作業性』です。
弊社が開発した精密導体『102SSC』を使用し、インストゥルメントライクな解像度とレンジを実現。
スパナで締めるだけの簡単な作業とは思えないほどの優れた耐久性。
さらにケーブルも柔らかく、取り回しにも優れているので、松本さんの様に機材数が多く、スイッチングシステムを組まれる方にも、安心してお使い頂けます。
高松さんのシールドケーブルには、Ecstasy Cableが導入されています
高松さんのベースは、フレーズによって変化する多彩なレスポンスが魅力的です。その技術を活かすという意味でもEcstasyの導入は最適解かと思います。
高松さんは、『パワフルでスピード感がある』点を気に入って頂いています。
QAC-222Gはモダンライクなイメージを抱かれる事も多いです。
その理由は前述した『レンジの広さ』かと思います。
DI等のライン周りや、可聴帯域の広さを求められるモニター周りには、高相性である事が伺えます。
程よく締まった低域と透き通った川の様な伸びていく中高域はQAC-222Gにしか出せない特徴のひとつです。
スピーカーケーブルが、アンプの音色に大きく影響を与えるのは事実です。
ヘッドアンプを持っていない方でも、スピーカーケーブルを変えるだけで視えてくる世界があるかもしれません。
こちらの電源ケーブルですが、導体には、L/i 50 OFC R2.5と同様「L/i50 OFC」が使用されています。
このケーブル「スターカッド構造」というケーブル内のループ面積を仮想的にゼロにする構造をしていて、ノイズ対策に強い効果があります。
またこのケーブルの特徴的とも言えるギラギラなシルバーメッシュも外来ノイズを遮断する用途としても採用されています。
コネクタ部はオーディオグレードの電源プラグ「P-029」を使用し、フラットでありながらもパンチのあるサウンドが魅力です。
今回は以上になりますが、実は今回取り上げた以外にも、生産完了品のオヤイデ/NEO製品や、ローディの岡田どらごんさんが自作されたケーブルなど盛り沢山でした。
ソルダーレス専用ケーブルSLD-ZEROをまさかのソルダーアリで使用。
いかがでしたか?
The Novembersの音に対するこだわりを強く感じられたかと思います。
ケーブルを全て良質なものにすれば、音が良くなるとは一概に言えないのがケーブル、差し引いては音の難しいところですが、ノーベンバーズは計算され尽くされた環境なのではないかと思います。
それを体現されたライブでした。
そして私の耳は、完全に彼らの爆音でやられてしまい、恵比寿の街の喧騒も聞こえないまま、夜に消えていくのでした。
Writting by Yuuki Miura
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